今回は、これまで多数の移動型店舗の製作と移動店舗運営を行ってきた中で、移動型店舗を作る上でこのあたりが注意だよ!という点をご紹介していきたいと思います。これはファッショントラックだけでなく、サービスを提供する車両を用いた移動型店舗全般に言えることなので、参考にしてみてください。
目次
1、大きな車両は要注意。駐車場も開催できる所も少ない。
車両を用いた移動販売を検討されてる事業者さんであれば、必ず最初に思い描くのは本場アメリカのファッショントラック、サービストラックなのではないでしょうか。こんなの
むちゃくちゃオシャレですよね。
インパクトのある大きな車両で行いたいという気持ちは重々わかります。せっかく車両を用いているので、広告塔としての役割も果たしてもらいたいですよね。大きな車両を選択する利点としては、
・遠方から見た時のインパクトが大きく、存在感とブランドをアピールしやすい
・車両と荷台が大きいので、在庫や資材を多く載せることができる
・デザイン的な工夫もしやすく、オシャレな世界観を作りやすい
点が挙げられます。
一方、注意しなければならないリスクとしては、
・車両を購入した際の、車庫証明の取得(駐車場の確保)が難しい。駐車場は、拠点住所から2km以内という成約がある
・運転できる免許の種別が、大型免許(もしくは中型免許)が必要で、現行の普通免許では運転できる人が少ない
・車両重量や大きさの観点で、開催できる会場が限定される
・車体費、車体加工費が大きい
という点が挙げられます。
上記のようなリスクはあるものの、ブランドの世界観や展開する商品・サービスの量を鑑み、大きい車両を選択するのも1つの方法です。
ただし、現状の日本の市場環境を見渡すと、現時点で最も取り回しが良さそうなサイズは、
1.5tクラスまでの小型トラックサイズまでが
最もバランスが良いです。
それは、以下のような理由からです。
・現行の普通免許で誰でも運転可能。2tトラック以上になると、中型か準中型の免許が必要。
・普通車の駐車場に停められる(高さは注意!)
・宅配会社などで使われ多く流通している車両なので、手に入りやすく値段も控えめ
もちろん大きさによって得られる効果とのトレードオフなので要件次第ではありますが、大きな車両のリスクは把握しておいた方が良さそうです。
2、国民性?実際に車両店内に入店してくれるユーザは少ない。店頭で立ち寄りやすい環境作りに注力を。
車両を店舗に見立てて、在庫を運びながら販売やプロモーションができるのが、ファッショントラックやサービストラックの特徴です。
しかし、これまで多数の開催をしてきた経験で感じるのは、
お客さんはなかなか店内まで入ってきてくれません!
これはおそらく、「(面白そうだし見てみたいけど)入店したら接客されて買わされるのでは。それであれば今はいいか」と深層心理で思ってしまわれているためだと思われます。
ファッショントラックやサービストラックは、離れたところから見たときのインパクトは抜群です。
「なんかやってる」「面白そう」「なんだなんだ」と注目と関心を得やすさがあります。
一方あまり見たことがないので、「得体が知れない」と感じる人もいます。得体が知れないものに、自分から入っていくことってあまりしませんよね。
そのため、店内に入ってもらう前に、店頭で興味を持ってもらう仕掛けが必要です。什器やPOP、声掛けなど、立ち寄りやすい環境を作ることで、店頭に人だかりができあがり、それが人を呼び店頭が盛況になります。このような効果をファッショントラックやサービストラックでは生み出しやすい特徴があります。
3、会場探しは、移動販売の一番の難所。予め開催したい場所をリサーチしておくべし。
ファッショントラックやサービストラック、キッチンカーなど、車両を用いた移動販売を行う際に、開催場所は切っても切れない重要な要素です。
会場探しが最も大事で、最も難しいと言っても過言ではありません。
優れた商品でも場所が合わなければ売ることはできず、一方でお客さんに合えば人が少ない場所でも売れます。超有名で、人通りが多い場所で開催した場合と、人通りは多くないが、ターゲット層が多く居る場所だと、後者の方が良い成果を高い確率で得られます。前者は高い会場費が必要になるでしょう。後者は、比較的賃料は控えめでしょう。前者は、売上が大きくても粗利が低い。後者は、売上が低くても粗利が高い。広告効果によるEC送客など、副次的な効果を期待する場合を除けば、後者の方が事業収益性としては高いと考えられます。
そして、そのような会場での開催は、常に新しい会場でチャレンジし続けなければ出会うことはできません。同じところでずっと開催していくことで、リピートも得られますが、飽きも出てきます。成果を得やすい会場で継続的に開催しつつ、新たな会場にチャレンジし続けることが重要です。
特に事業を始める前には、予めこのあたりで開催してみたいとアテをつけておいた方が良いです。可能であれば、賃料なども問い合わせて可否なども確認しておいた方が良いでしょう。人気のある会場は、1年前にも予約が埋まっているということもありますので、早めにアテをつけておくのが重要です。